ホームアダルトビデオAV新法がセクシービデオを「つまらなく」した—ジャンルの多様性が失われた3年間

AV新法がセクシービデオを「つまらなく」した—ジャンルの多様性が失われた3年間

まいどなニュースに興味深い記事が掲載された。元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖氏による「昔はよかった?セクシービデオが失った多様なジャンル」だ。かつてのAV業界には人妻・ギャル・ロリといったジャンルのブームサイクルがあり、数カ月単位で流行が入れ替わっていた。AV新法施行後、そのサイクルが壊れたという内容だ。当事者視点による鋭い指摘で、業界の「今」を知るうえで読む価値がある。

この記事を起点に、AV新法が業界にもたらした変化を改めて整理したい。


4カ月ルールが「旬」を殺した

AV出演被害防止・救済法(AV新法)は2022年6月に施行された。核心となるのが「1カ月4カ月ルール」と呼ばれる期間規制だ。出演契約から販売まで法律上は5カ月、発売予約期間を含めれば事実上最短でも6カ月の時間を要するようになった。それまでAV作品の制作には概ね3カ月程度だったものが、急に倍の期間の確保が義務付けられた。

この変化がジャンルのブームサイクルに直撃した。アニメのパロディ、時事ネタ、流行に乗った素人系企画—こうした「旬が命」のコンテンツは、撮影時点でのトレンドが発売時には半年以上前の話になってしまう。たかなし氏が指摘する「時事ネタは死に体」とはまさにこのことだ。


作品数2割減、割を食ったのは新人と中堅

ジャンルの多様性だけでなく、作品数そのものも減少した。AV新法の施行前後で業界団体の審査を受けたAVの制作本数は2割程度減少している(2022年6月:1449タイトル→2022年11月:1170タイトル)。

最も打撃を受けたのは新人と中堅の女優だ。せっかく時間をかけて作品を作っても出演者による権利行使で公表停止されるリスクがあるため、実績の多い一部の人気ベテラン女優に仕事が集中するようになった。これにより新人・中堅女優の仕事が大幅に減少し、経済的に苦境に陥っている。

現場が減るため中堅女優は仕事が激減し、中には個人撮影のAVに出演したり売春に手を染めたりする女性もいるという。出演者を守るために作られた法律が出演者を追い詰める皮肉な構造だ。


規制はアングラ化を招く

適正な手続きを踏むメーカーへの規制が強化される一方で、法規制が及びにくい領域への流出が加速した。適正AV業界がAV新法で厳しい規制にさらされている状況下で法を守らない違法同人AV業界に人が流れていき、違法動画が増えてしまうことが懸念される。

業界関係者からはAV新法の影響として製作本数の減少や新人・中堅のセクシー女優の減少、アンダーグラウンドな現場への出演者の流出などの問題が挙がった。規制によって「見える場所」が縮小し「見えない場所」が拡大するという構図は、性産業規制が繰り返してきたパターンでもある。


2024年の見直しを経て、何が変わったか

批判を受け、2024年6月に法の見直しが行われた。ただし「1カ月4カ月ルール」の骨格は維持されており、期間規制そのものは撤廃されていない。実は「1カ月4カ月ルール」よりも契約書と説明書面を交付すること、およびその内容に虚偽がないことの2点の方が法的には重要で、これらが守られていれば期間ルールに違反しても刑事罰には問えないという構造になっている。

法律の運用が複雑になる一方で制作現場の実態は今も厳しい。たかなし氏の記事が示すように「似たり寄ったり」という表現の均質化は施行から3年が経った現在も進行中だ。ジャンルの多様性が戻る兆しは、まだ見えていない。


参考記事 昔はよかった?セクシービデオが失った多様なジャンル AV新法「4カ月ルール」で時事ネタは死に体、JKモノは表現規制のターゲット【元セクシー女優が解説】(たかなし 亜妖) https://maidonanews.jp/article/16530448

PulseDesk
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Pulse Adult編集部。確認できた情報をもとに、アダルト産業のニュース・規制・カルチャーを取り上げています。
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