メンズエステの摘発事例が全国で続いている。岩手、札幌、福岡—2026年に入ってからだけでも複数の摘発が報じられており、業界全体に緊張感が走っている。
「自分が働いているお店が摘発されたら、どうなるのだろう」
そう不安に思っているセラピストは少なくないはずだ。この記事では摘発時にセラピストがどのような立場に置かれるのかを、弁護士の見解や実際の摘発事例をもとに整理する。最終的にどう判断するかは、あなた自身が決めることだ。
摘発の対象は主に経営者
まず基本的な構造を理解しておきたい。
メンズエステが風営法違反(禁止区域での営業、無届けでの性的サービス提供)で摘発された場合、主な逮捕対象は経営者だ。「お店側が指示して違法行為をさせていた」と判断されるため、施術を行ったセラピストが直ちに罪に問われることは基本的にはない。
ただし「基本的には」という言葉には意味がある。例外が存在するからだ。
セラピストが罪に問われるケース
以下のいずれかに該当する場合、セラピストも逮捕・立件される可能性がある。
① 店の運営に関与していた場合
単純に施術を行うだけでなく、面接・受付・実技指導・スタッフ管理などの業務を担っていた場合、「店の運営に積極的に関与した」と判断されるリスクが高まる。
実際に2026年2〜3月、静岡・沼津のメンズエステ摘発では、経営者に加えて面接・受付・実技指導を担当していた37歳の女性従業員が逮捕されている。施術者ではなく運営側の人間として認定されたためだ。
② 個人として性的サービスを提供していたと認定された場合
店の指示ではなくセラピスト個人の判断で性的サービスを提供していたと判断された場合も、罪に問われる可能性がある。
③ マンションの部屋名義がセラピスト本人だった場合
マンションの一室を使った営業形態の場合、部屋の契約名義人がセラピスト本人であれば、住居用物件を性風俗目的に使用したとして詐欺罪が追加されるリスクがある。
逮捕されない場合でも起きること
逮捕に至らなかったとしても、摘発があれば一定の影響は避けられない。
事情聴取
警察から事情聴取を求められる可能性が高い。どのような施術を行っていたか、店から何を指示されていたかといった内容が確認される。
名簿の押収
摘発時には店のセラピスト名簿が押収される。名前・連絡先・在籍期間などの情報が警察に把握されることになる。別の店に移籍していても名簿から個人が特定され、後から接触を受けるケースがあるとX上では複数報告されている。
突然の失業
店が営業停止になれば当日から仕事がなくなる。収入が途絶える状況に即座に対応しなければならない。
客はどうなるか
客については届出をしていないメンズエステ店で性的サービスを受けた場合でも、風営法違反には問われない。風営法はあくまで営業者を規制する法律であり、客は共犯として扱われないためだ。
ただし警察から事情聴取の協力を求められる可能性はある。またセラピストの同意なく、客が性的行為を行った場合は不同意わいせつ罪・不同意性交等罪として客が逮捕される可能性がある。これは摘発とは別の話だ。
2026年の摘発傾向
2026年に入ってからのメンズエステ摘発事例を見ると、いくつかの共通点がある。
マンションの一室を使った営業形態が多く摘発されている。また今回の福岡の事例では女性従業員が約60人・複数マンションで展開という組織的な規模であり、警察が暴力団やトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の資金源になっていないかを調べているとも報じられている。
警察庁の統計では、風営法違反の禁止区域等営業の検挙が継続して行われており、メンズエステを対象とした取り締まりは強化傾向にあると業界では受け止められている。
自分の状況を確認するための視点
摘発リスクを自分なりに判断するための視点をまとめる。
リスクが低いと考えられる状況
- 施術のみを行っており、店の運営業務には関与していない
- 性的サービスの提供を店から指示されておらず、自分も提供していない
- 勤務している物件が適切に契約された事務所・施術スペースである
リスクが高まると考えられる状況
- 面接・受付・スタッフ管理など運営業務を担っている
- 店から性的サービスの提供を指示されており、それに従っている
- 施術スペースとして使っているマンションの部屋契約が自分名義
- 禁止区域内での営業であることを認識している
判断するのはあなた自身
この記事でまとめた情報は、あくまで公開されている情報と実際の摘発事例に基づくものだ。個別の状況によって判断は異なる。
自分が今置かれている状況に不安を感じているなら、風俗・夜職に詳しい弁護士に相談することが確実な選択肢のひとつだ。多くの弁護士事務所が無料相談を受け付けている。
どこで働くか、何をするか—それを決めるのはあなた自身だ。

