ホームクリエイターFantia規制撤回の顛末—10日間で何が起き、何が残ったか

Fantia規制撤回の顛末—10日間で何が起き、何が残ったか

5月19日にFantiaが発表した修正・モザイク基準の大幅改定は、公開から10日も経たないうちに事実上の白紙撤回に追い込まれた。5月29日、Fantia運営はお詫び文を公表し「2次元ジャンルの審査基準について、新たな基準が定まるまで以前の基準に戻す」と発表した。

当サイトでも改定直後に記事を掲載した手前、今回の顛末をきちんと記録しておきたい。


何が起きたか—10日間の経緯

5月19日、Fantiaは「関係諸機関より法的な観点から厳格な指導・指摘を受けている」として、修正・モザイク基準のガイドライン改定を発表した。薄いぼかし・透過モザイク・棒線処理の全面禁止と、「原型が視認不可な粗いタイルモザイク」の義務化が核心だった。そして最大の問題点として、新基準は5月25日から過去作品にも遡及適用されると告知された。

実質5日程度の猶予で数年分の過去作品を全修正せよという内容だ。

5月25日以降、クリエイターからの反発が爆発した。「数百作品をどうやって1週間で直すのか」「既に非公開にしたのに、手のひら返しをするつもりか」—SNS上では怒りと困惑が入り混じった声が相次ぎ、Fantia離脱・他プラットフォーム移行を宣言するクリエイターも続出した。Togetterのまとめが複数作られるほどの炎上規模となった。

5月29日、Fantia運営はお詫び文を公表。「指摘を受けた法的機関と改めて協議を行っている」として、新たな基準が定まるまで2次元ジャンルに限り従来基準に戻すことを決定。過去作品の修正対応も「次のお知らせまで待つよう」求めた。


撤回して「解決」したわけではない

ここで注意が必要なのは、今回の撤回は「規制強化がなかったことになった」わけではない、という点だ。

Fantia運営のお詫び文には「現在指摘を受けた法的機関と、2次元ジャンルの今後の方針や基準について改めて協議を行っております」とある。つまり外部からの圧力が消えたわけではなく、協議が続いているということだ。新たな基準は「早急に発表する」とされており、第二ラウンドは必ず来る。

今回問題になったのは、規制の方向性そのものではなく「運用のまずさ」だった。

遡及適用—過去作品に新基準を適用するのはコンテンツビジネスの慣行としてあまりに異例だ。数年分の作品を短期間で修正することは、特に個人クリエイターにとって現実的ではない。

猶予期間の短さ—告知から適用まで実質5日。どれだけ基準が正当であっても、この期間設定は機能しない。

「関係諸機関」の不透明さ—指導を行った機関が何なのかが明らかにされないまま、クリエイターに大幅な対応を求めた。自主規制なのか行政指導なのかで対応すべき優先度は大きく変わる。

SNS上の反応でも「規制自体はしょうがない」という擁護意見は一定数あった。問題視されたのは、主にこの「やり方の杜撰さ」だった。


既に動いたクリエイターへの傷は残る

撤回されたとはいえ、この10日間で実際に行動を起こしたクリエイターは少なくない。

新基準に合わせて過去作品の修正・描き直しを行ったクリエイター、判断がつかず作品を非公開にしたクリエイター、Fantiaからの撤退を決断してFANBOXや海外プラットフォームへ移行準備を始めたクリエイター—「時間と労力を返せ」「一度失った信頼は戻らない」という声がSNS上に溢れているのは、こうした実害を受けた当事者たちの声だ。

撤回は正しい判断だった。だが撤回すれば元通りになるかというと、そう単純でもない。


この件から見えるもの

今回の騒動はFantiaに固有の問題というより、アダルトコンテンツプラットフォーム全体が直面している構造的な問題の縮図でもある。

当サイトでは以前、Kickstarterの成人向けコンテンツ規制強化やOnlyFansのAI規制強化についても取り上げてきた。プラットフォームが外部からの圧力(行政・金融機関・決済会社)に対応するために自主規制を強化するというパターンは、ここ数年で明らかに加速している。

プラットフォームの「生き残り判断」として規制強化が行われるとき、そのコストを負担するのはクリエイターだ。今回のFantiaの件はその構造を改めて可視化した。

新たな基準の発表は「早急に」行われるとされている。次の告知が出たとき、どのような内容でどのような手続きで実施されるのか—その時こそ、今回の件への反省が本物だったかどうかが問われる。

PulseDesk
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Pulse Adult編集部。確認できた情報をもとに、アダルト産業のニュース・規制・カルチャーを取り上げています。
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