ホームアダルトビデオ宮城県警がAV出演被害防止・救済法を初適用—同人AV制作者が知っておくべきこと

宮城県警がAV出演被害防止・救済法を初適用—同人AV制作者が知っておくべきこと

2026年5月、宮城県警が仙台市の男(58)をAV出演被害防止・救済法違反などの疑いで逮捕した。容疑は出演者の女性3人(いずれも当時10代)に対し、法律で定める契約書や説明書を事前に交付しなかったというものだ。宮城県警がこの法律を適用するのは初めてのケースだという。

この法律、正式名称を「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」という。2022年6月に施行されたこの法律は大手AV制作会社だけに適用されるものではない。個人制作の同人AVにも、そしてこれから撮影を考えているひとにも直接関係する内容だ。


大手AVだけの話ではない

この法律は年齢・性別の区別なく適用され、個人撮影AVや同人AVなどの非適正AVにも適用される。

つまり企業が制作する商業AVと個人が制作して販売する同人AVは、この法律の前では同じ扱いを受ける。個人で制作するいわゆる同人AVでもAV新法は適用されるためしっかり契約書を巻き、撮影開始日時・公開日時等のルールを守って制作しなければならない。


義務の内容—何をしなければならないか

法律が制作者(「制作公表者」)に課す主な義務は以下の通りだ。

①契約書の作成・交付
作品ごとの契約締結が必要で作品を特定しない契約は無効となる。また契約書等の作成が必要であり、口頭での契約は無効だ。契約書にはAVであること、撮影の日時と場所、撮影の内容、性行為の相手、公表の方法と期間、公表者の名称等、報酬の額や支払時期等を記載しなければならない。

②撮影までの1ヶ月待機
契約書等および説明書面等の交付から1ヶ月は撮影してはいけないと定められているので、契約書を渡してすぐ撮影というわけにはいかない。これは出演者が冷静に内容を検討し、気が変わった場合に撮影前に断れるよう設けられた熟慮期間だ。

③撮影終了から4ヶ月の公表禁止
また撮影が終わってもすぐには公開することもできない。撮影終了から4ヶ月間は公表が禁止されている。これも②と同様に撮影後「やはり公開したくない」と気が変わった場合に出演者が申し出られるよう設けられた期間だ。撮影済みの映像を確認する機会も保障されており、公表前に内容を確認したうえで判断できる仕組みになっている。

④出演者の任意解除権
撮影時に同意していても公表から1年間は性別・年齢を問わず無条件に契約を解除できる。出演者が「やっぱり公開やめてほしい」と言えば、制作者はそれに従わなければならない。

⑤罰則
説明書面・契約書面を交付しなかった、または虚偽の記載をして交付した場合は6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科される。今回の宮城の事件はまさにこの条項に該当する。


FC2の無修正は合法なのか—よくある誤解と実態

Q. 販売しなければ契約書は不要?

不要ではない。この法律が定める義務は販売するかどうかではなく「外部に公表することを前提とした制作」かどうかで判断される。「公表」とは販売に限らず配信・アップロード・他者への送付など、第三者が視聴できる状態にする行為全般を指す。

純粋に私的な記録—カップルが自分たちだけで楽しむために撮影し、外部に一切公開しない場合—は対象外と解釈される。ただしその映像をFC2などにアップロードした瞬間に「公表」となり、法律の義務が発生する。契約書なしで撮影していた場合、遡って不備が問われることになる。

Q. 出演フィーを払うと売春になる?

これは業界が長年抱えてきたグレーゾーンだ。法律の条文自体に「売春等は許容されない」と明記されており、AV出演被害防止・救済法は刑法や売春防止法等で禁止・制限されているような性行為等を合法化するものではない。つまりAV新法は撮影・公表のルールを定めるものであり、性行為そのものの合法・違法については別の法律の問題として切り離して考える必要がある。

Q. FC2で無修正を上げているひとを見るが、あれは合法?

結論から言えば合法ではない。FC2のサーバーは米国にあり運営会社も米国法人だが、日本国内で撮影・編集・管理を行っていれば日本の法律が適用され、「海外サーバーだから大丈夫」という言い訳は通用しない。日本の刑法175条(わいせつ物頒布罪)は性器が無修正で映っている映像を日本国内で頒布・陳列する行為を禁じており、サーバーの所在地は関係ない。実際に逮捕事例は複数出ている。

なぜ野放しに見えるかといえば、FC2が日本の警察の照会に対して投稿者情報を開示しないためだ。ただし「開示されないから安全」という話ではなく、別件捜査や資金の流れから身元が判明するケースがある。今回の宮城の事件も「別の事件捜査で男に関する情報を得た」とされており、思わぬところから芋づる式に発覚するのがこの手の事案の典型だ。


同人AV制作者が実務上注意すべきこと

法律の義務をまとめると、同人AV制作者がやるべきことは以下になる。

  • 作品ごとに契約書を書面で作成・交付する
  • 契約書交付から最低1ヶ月空けてから撮影する
  • 撮影終了から4ヶ月は公開しない
  • 出演者が18歳・19歳の場合は法律上出演させてはならない
  • 出演者の年齢確認を怠らない(未成年が含まれると児童ポルノ禁止法が別途適用される)
  • 出演者から任意解除の申し出があった場合は速やかに対応する

何より出演してくれる女優さんとの関係性が重要で、関係性が希薄または悪ければ即座に契約解除を請求されてしまうため、しっかりと関係を構築してから撮影することが推奨される。


今回の事件が示すもの

宮城の事件で逮捕された男は4千万円以上の売り上げを得ていたとされる。SNSで「完全身バレ防止対策」と広告を出して10代の女性を勧誘するという手口は、AV新法が制定された経緯そのものを体現するような案件だ。

この法律は2022年の施行以来、宮城県警としては今回が初めての適用となった。全国的にも適用事例はまだ多くないが、法執行のフェーズが本格化しつつあることを示している。「知らなかった」では済まされない時代になっている。

PulseDesk
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Pulse Adult編集部。確認できた情報をもとに、アダルト産業のニュース・規制・カルチャーを取り上げています。
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