ホームやさしく解説難しい言葉なしで売春防止法改正を解説—買春を罰する法律ができるかもしれない

難しい言葉なしで売春防止法改正を解説—買春を罰する法律ができるかもしれない

何が起きようとしているのか

2026年の春、国がある法律を変えようとしている。「売春防止法」という法律だ。

売春とは、お金をもらって性的なサービスをすることだ。買春とは、お金を払ってそのサービスを買うことだ。

今回の議論の中心は、「買った側を罰する法律を作るかどうか」という問題だ。

この話が動き出したきっかけは、2025年11月に起きた事件だった。タイから来た12歳の女の子が東京のお店で無理やり働かされ、1か月で約60人もの相手をさせられていたことがわかった。この事件が大きなニュースになり、総理大臣が「法律を変えることを考えよう」と指示した。


今の法律はどうなっているか

今の「売春防止法」という法律には、こう書いてある。

「売春をしてはいけない。買春をしてもいけない」

でも不思議なことに「売ること」も「買うこと」も、それ自体には罰則がない。実際に罰せられるのは路上で客を引っ張ってくる行為や、売春を手配する人だけだ。

「ダメだ」と書いてあるのにやっても罰せられない。こんなおかしな法律が70年間ずっと使われてきた。

なぜこんな法律ができたのか。1956年、つまり今から70年前にある政党が選挙で「女性の支持を集めたい」という理由でこの法律を成立させた。「売春は悪い」という姿勢だけを見せて、実際の罰則は最小限にとどめたのだ。そのまま70年が経った。


3つの案—どれを選ぶ?

検討会では3つの案が話し合われている。

案①:買う側の「声かけや待ち合わせ」を罰する

今は売る側が路上で声をかけることだけが罰せられている。これを「買う側が声をかけること」にも広げる。性的サービスそのものは引き続き罰しないが、その周辺の行動を取り締まる。

案②:買春そのものを罰する

お金を払って性的サービスを受けること自体を犯罪にする。3つの案の中で最も踏み込んだ規制になる。

案③:北欧モデル—売る側は罰せず、買う側だけ罰する

「売る側は被害者、買う側が悪い」という考え方にもとづいた案だ。お金をもらった側は罰さず、払った側だけを罰する。スウェーデンが1999年に世界で初めてやってみた方法で日本でも注目されている。


「守るための法律」が逆効果になっている現実

北欧モデルは一見よさそうに聞こえる。「被害者は守って、悪い人だけ罰する」という考え方はわかりやすい。

でも実際のスウェーデンで何が起きたかを見ると、そう単純ではない。

まず警察が「買った人を捕まえるために、売った人を監視する」ということが起きた。「売春は合法」のはずなのに自分の家の前を警察に張り込まれたり、外国から来た人は強制的に国に帰されたりするケースが出た。

次にお金の問題だ。買う側が捕まるのを怖がって客が減った。収入が減ると危険な状況でも断れなくなる。残った客は「捕まってもかまわない」という危険な人たちだけになった。

性病の検査や病院にも行きにくくなった。「売春は合法」なのに、実際には支援を受けにくい状況が生まれたのだ。

「守るはずの法律が、守るべき人を追い詰める」という皮肉な結果が、スウェーデンの現場で起きた。


「自分のことは自分で決める権利」はどうなる?

日本国憲法には「自分の人生のことは自分で決める権利」がある。「いつ、誰と、どんなふうに体を使うか」は、その中でも一番プライベートな部分だ。

これを国が「犯罪だ」と法律で決めることは、「個人の決定に国家が口を出しすぎていないか」という問題になる。

「社会のためによくないことだから罰する」という理由だけで、大人同士が同意した上でしたことを罰してよいのか。これは法律の専門家たちの間でも意見が分かれている難しい問題だ。


前にも似たことがあった

2022年に「AV新法」という法律が作られた。AV(アダルトビデオ)に出演する人を守ることが目的だった。

でも実際には撮影の仕事が大幅に減り、収入を失った人が海外に流れたり、もっと危険な状況に追い込まれたりした。出演する当事者への聞き取りも十分に行われないまま、急いで法律が作られたと批判されている。

今回の改正でも同じことが起きないかという心配がある。守るべき人たちの声をちゃんと聞いているか。急いで作って、また逆効果にならないか。


まとめ—誰のための法律か

整理しよう。

今の売春防止法は70年前に、「ダメだと言いながら罰しない」という矛盾した形で作られた法律だ。その矛盾をやっと正面から議論しようとしているのが、今回の動きだ。

ただし法律は一度作ると変えるのがとても難しい。「悪いことは罰すべきだ」という気持ちだけで急いで作ると、守りたい人を逆に傷つける結果になることがある。

北欧の現場で何が起きたか。当事者は何を求めているか。憲法の問題はどうなるか。こういったことを丁寧に考えずに急いで法律を作ることは危険です。

「誰かを守るための法律が、守るべき人を苦しめる」という失敗をまた繰り返さないよう、しっかり話し合いをしていかなければならない。

PulseDesk
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Pulse Adult編集部。確認できた情報をもとに、アダルト産業のニュース・規制・カルチャーを取り上げています。
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